都市型アンビエントフェスティバル「- Ambient Week -」や、ライブ・コンサート、ポッドキャスト、レーベルを行うコレクティブ「MIMINOIMI」。
Experimental / Ambient / Art / Noise / Social
2024年5月、MIMINOIMI - Ambient / Week- 第2弾を開催
MIMINOIMI -Ambient / Week- "Enviromental mood"
2024/5/6 MON - 5/12 SUN
会場 POLARIS tokyo(神田・小川町)
鳥越けい子
永田壮一郎
小沼純一
M集会
乾針
Tatsuro Murakami
Tomotsugu Nakamura
tatata5
Yumi Iwaki
Mayu Amano
DNAAK + Yu Ogu
Keiji Matsuoka
DJダンボール
松本一哉 / Kazuya Matsumoto
山本達久 / Tatsuhisa Yamamoto
Organic Drone Society
Hideki Umezawa
TKD(多田正美 / Tada Masami+越川知尚 / Tomonao Koshikawa)
Yolabmi
柳沢英輔
Ken Ikeda
畠中実
Yumiko Morika
田口愛(社会起業家)
Chee Shimizu
FeLid
Yengo
kentaro nagata
and more
鳥越けい子
永田壮一郎
小沼純一
フェスティバル初日となる5月6日は、「サウンドスケープから環境音楽を問う」と題して開催されます。サウンドスケープ概念が1970年頃、シェーファーによって提唱されたカナダの情況について調査研究し、帰国後は日本独自の文脈でサウンドスケープ思想を思索、実践してきた鳥越氏が先ず、自分自身とサウンドスケープ思想の関係についてレクチャーを行います。続いて、音楽家の永田壮一郎を招き、鳥越氏とその仲間たちが1980年代中頃に録音した神田の街の音を、現在のまちの音と多層的に交錯させながら、鳥越氏自らがプロデュースするライブパフォーマンスを行います。さらに、翌日5月7日にも出演する小沼純一氏との間で、即興的な対話を繰り広げます。
小沼純一
M集会
鳥越けい子
乾針
「生物と音・音楽」と題された2日目には、文化批評家小沼純一氏をお招きします。武満徹、ミニマル・ミュージックなどを論じながらも、音を起点として様々な芸術分野を越境し批評してきた小沼氏は、近年、他の生物と人間との関係性の中で、音や音楽がどのように存在してきたかを研究しており、今回はその研究内容の一端を紹介いただきます。
小沼氏のトークに加え、野球場や山の中、押入など、特殊空間を使い、パフォーマンス要素が強い即興演奏を繰り広げてきたM集会が、滋賀県のカエルの鳴き声を楽譜として即興演奏を行います。更に、独自の感性で実験的な音楽をセレクトするDJの乾針が、コンセプトに合わせた音源を使い、特別なミックスを披露します。
なお、特別ゲストとして、初日にメインスピーカーとして登場した鳥越氏が、小沼氏のレクチャーに応答する形で対話を繰り広げます。
DNAAK + Yu Ogu
Tatsuro Murakami
Tomotsugu Nakamura
tatata5
Yumi Iwaki
Mayu Amano
Keiji Matsuoka
DJダンボール
kentaro nagata
MIMINOIMI3日目は、実施回数を重ねているアンビエントイベントであるTENbientの拡大版を行います。静かでミニマルなアンビエントから壮大なギターアンビエント、ノイズ、各種電子楽器を使った即興まで、いろいろな表現を取り込みながら行われるTENbientですが、今回も様々なアーティストが登場し、現代日本におけるアンビエント・実験的な音楽の魅力を紹介します。
松本一哉 / Kazuya Matsumoto
山本達久 / Tatsuhisa Yamamoto
Organic Drone Society
MIMINOIMI4日目は、「環境に向かう音楽1」と題して、即興演奏家として幅広く活躍する松本一哉氏と山本達久氏という二人の鋭い感性を持ったドラマー・打楽器奏者を招いて実施されます。流氷など、自然現象と共に音を奏でる松本氏の演奏は、強く環境的な側面を持っていると言えるでしょう。また、山本氏も空間全体を使い、通常のドラム演奏を超え出るようなアプローチをとる演奏家です。
加えて、MIMINOIMIを母体とし結成され、ドローンを共通言語として、大人数が音でコミュニケーションを図るプロジェクト:Organic Drone Societyが、この日の為に用意した特別なセットを披露します。
Hideki Umezawa
TKD(多田正美+越川知尚)
Yolabmi
この日は、「環境に向かう音楽2」と題して、フィールドレコーディングや電子楽器を用い、様々な環境の状況に触発されながら制作を行っているHideki Umezawa氏が、フランスGRMでのレジデンスを終えた後の国内初ライブを披露します。加えて、アンビエントとコラージュミュージックの狭間で、独自の表現を打ち立てているYolabmiが即興ライブセットを披露します。この日はまた、即興バンドとして世界的に知られるマージナルコンソートに所属する多田正美氏と越川友尚氏による新しいデュオ:TKDの演奏も予定されています。
柳沢英輔
Ken Ikeda
畠中実
この日は書籍「フィールドレコーディング入門」にてフィールドレコーディングという行為を社会に広く紹介した柳沢英輔氏が、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)のキュレーターである畠中実氏と対談を行います。この日のトークは、柳沢氏が直近で発表する新作を出発点として、フィールドレコーディングという行為を深く考えていく上で、様々なヒントが詰まったものになるでしょう。また、トークと共に、即興演奏家であるKen Ikeda氏と柳沢氏の特別な即興ライブセットも予定されています。
Yumiko Morioka
田口愛
FeLid × Yengo
Chee Shimizu
最後の日となる12日は、作曲家、アンビエントアーティスト、チョコラティエなど様々な顔をもつYumiko Morioka氏によるカカオを主題とした「カカオパーティー」です。この日はMorioka氏のガイドにより、珍しい高純度のカカオドリンクを飲んだり、Morioka氏のライブが予定されています。更に、特別ゲストとして、社会起業家としてガーナでカカオ農園を経営する田口愛氏に登壇いただき、Morioka氏と対談を繰り広げます。また、MIMINOIMIメンバーであるFeLidが、アンビエント即興バンドにて演奏を披露します。最後に、この日とフェスティバルの1週間の締めくくりとして、長年刺激的なダンスミュージックや実験音楽を紹介し続けているChee Shimizu氏がDJを披露します。
この日のプログラムは、我々の身近にある食というキーワードを始点として、音と食との関係性を考え、我々が日々消費している食べ物がどこから来るのかということに対して、想像力を活性化させる為の実践となるでしょう。
2023年に実施された都市型フェスティバルMIMINOIMI -Ambient / Week-において、日本におけるアンビエントを多角的に検証したMIMINOIMIは、2024年5月、環境音楽というヒントを出発点として、激変を続ける我々を取り巻く世界を聞き、考えていくため、同イベント第2弾として、MIMINOIMI Ambient / Week "Environmental mood"を開催します。
環境音を用いたり、シンプルなメロディーや曲構成により知られる環境音楽は、アンビエントミュージックの日本版と捉えられることも多いですが、80年代当初には、サウンドスケープ、サウンドアート、サウンドデザイン、サウンドエデュケーション・スタディーズなどの多様な領域を包含する、広がりのある実践であったと言えるでしょう。しかし、それは同時に、時代や立場、商業的な要請によって変動していった、流動的なタームであったこともあり、環境音楽の全貌を把握することは容易ではありません。
この度、MIMINOIMIは、環境音楽が80年代に示していた拡散性・可能性を現代に翻案することを試みます。その際に重要なキーワードが、我々を取り囲み、我々がその一部にもなっている「環境」であり、「環境」と隣接して考えれるエコロジーであると言えるでしょう。それは、今現在、我々が直面しているさまざまな環境変動や環境危機を前にして、避けては通れない重要な対象となっているからです。
日本で行われてきたサウンドスケープの考え方を応用した試みの紹介、他生物と音楽の関係性についてのレクチャー、即興パフォーマンスやアンビエント・ミュージックコンサート、食と音楽のコラボレーション企画等、このイベントでは様々なプログラムが予定されています。それらの活動を通し、環境を、概念的なレベルだけでなく、感覚的に実感を持って捉えるための実践、実験が行われる予定です。
MIMINOIMI -Ambient / Week-が、我々と共にありながら、遠くにある全ての存在を取り囲んでいる環境、自明なものであると共に謎を抱え込んだ存在である環境、自分自身でありつつも他者でもある環境、これら多様な側面を持つ環境に対し、耳を澄まし、少し立ち止まり、再考したり、今までとは違った感覚を感じ取っていく契機になることを主催者は願っています。